横濱という夢
85%の衝撃
かつて、わが国の貿易額の85%を占めたこともあるという横浜港。ご承知のように、この港の繁栄ぶりが今日の横浜をつくってきました。
しかし、この繁栄こそが、私たちの力を奪ってきた側面もあることを忘れてはなりません。
同様に、映画やドラマに数多く取り上げられてきた街だからこその役得もあれば、それ故に、私たちが失ってきたものもあります。
顔無しの街
都市の個性とは
知らぬ間に横浜は個性を失ってきました。それは外国船の入港が少なくなったからでも、進駐軍がいなくなったからでもありません。いわゆる「地方」がそうであるように、行政の予算(支出)によって経済が回る都市になってしまったからです。これからの時代、「民」が自立出来るかどうかが厳しく問われていきます。
時代の波
押し寄せる時代の波
横浜だけは絶対に大丈夫だ…そう思われている方はほとんどいらしゃらないと思います。しかし、その一方で、次の時代への準備も、ほとんど手つかずの状態になっていらっしゃる方が大半だと思います。集団を編成する能力、それを集団として動かす能力よりも、いかに個人の能力を発見し、それを個人のままにのびのびと働かせてやるか…いずれにせよ、この半世紀ほどのセオリーからすれば、180度、まったく反対の方向に向けといわれているような時代です。
「質」
「質」が問われる時代に
物を動かして収益を得るということが主流の時代には、横浜は文字通り優等生でした。中流といわれた人々の消費活動が活発だった時代においても、そうでした。
しかし、これからも、その時代において優等生のままでいられるのかどうか…
まだまだ150年足らずの横浜、特に都心部には、基層となる文化は成熟しておらず、時代ごとに表層を塗り替えながら今日を迎えています。一方、郊外区においても、もともとあった歴史とは脈略のない、新たな都市像が与えられて数十年の時間しか流れていない…こうした街ほど、大きく時代が変化するときには弱いものです。